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銀賞

恋文

作:高瀬奈々

突然のお手紙、お許しください。

どんなに頑張っても、振り向いてくれる気配がない貴女のことを、
好きになってしまいました。

言葉を交わしたことすらないじゃない、って思うかもしれません。
それでも、
沢山の人の群れの中に貴女を初めて見つけたとき
ひたすらに前向きな姿に、僕は確かに、心を奪われました。

あの日から僕はいつも
貴女の背中を見つめています。

何十年越しの片思いだと言えば、驚かせてしまうでしょうか。
つい先日、
その何十年の中で、初めてのことが起こりました。
貴女の様子が変わってしまったのです。
僕と貴女のあいだに、高くはないけれど、確実に間を隔てる壁ができてしまったことに気づいたのです。

貴女の姿は見えるのに。今までと同じ場所にいるのに。
貴女が遠くなってしまったような気がして、悲しくなりました。

でも、僕の思いが勝ったのでしょう、
ある日、壁は崩れました。
そして、それ以来、貴女は以前にも増して美しくなりました。

実は私も、貴女に恥じぬように
試行錯誤しては、リニューアルという自分磨きを続けています。

この何十年もの間、貴女との距離が縮まることはありませんでした。
これからも、きっと無いでしょう。

でも、
いつの日か、奇跡が起きて
貴女が一瞬でもこちらを振り返ってくれたら......と祈りながら、
僕はまたこれからも、貴女の背中を見つめて、いえ、見守っていこうと思います。

希望の泉 でいつも空に手を伸ばす貴女様へ
名古屋テレビ塔......じゃなかった、中部電力 MIRAI TOWER より

恋文