いやし♡の大須
やっと 1 週間が終わった……。
月曜から 5 日せっせと働いて、気づけば金曜日の夕方、家路を急ぐ私。
駅前スーパーでキンキンに冷えた缶ビールを 1 本買って帰る。それが唯一のご褒美だ。
私は2人の子を持つシングルマザー。
水曜日は取引先とのトラブルで苦情処理に追われた。家にたどり着いたのは午後 10 時。
精も根も尽き果てて 、子どもとろくに話すこともなく、ベッドになだれ込んだ。
翌朝、いつものように子どもを起こして朝食をとらせ、登校するのを見届けてメイク。
つい鏡の中の自分に向かって呟いてしまう、「私、何のために生きてんだろ?」
「何言ってんの、自分が選んだ道でしょ。」鏡の私が冷たく言い返す。
「そうだね、そうなんだけど・・・。」
親子 3 人がこうして生きることのできる幸せ。それは重々分かってる。
でも時折弱音が込み上げてくる。私のこの先に何が待っていると言うんだろう、と。
私達家族のささやかな楽しみ。それは月に一度大須に行くことだ。
離婚して間もない頃、ハローワークの帰りにふらりと訪れたのが始まり。
幼かった二人の娘は観音様の鳩に夢中になり、鳩さん軍団にいっぱい遊んでいただいた。
先に進むと 小さな赤い鳥居がいくつも連なるお宮さん。三人並んでお参り。
かぐわしい香りに誘われてさらに歩けば、世界の料理があちらこちらで売られていた。
眉毛のイケメン青年が陽気に声をかけてくる「おいしいよ、どうぞいらっしゃいせ!」。
「ここは一年中お祭りなの?」
「そうだよ、ここはね、いつ来てもみんなが楽しめる場所なんだよ。」
口のまわりをきな粉だらけにしながらみたらし団子をすこぶる喜んで食べた娘が言った。
「また連れてきてね。」……その約束を守って 7 年が経とうとしている。
「明日は大須に行くよね。お買い物もしていい?」「もちろん!!」
私も串カツとビールで命の洗濯をしてこよう、私達の大切な街、大須で。